2019年03月27日

ぼくがダライラマ?(68)

 足もとがふらついていた。夢を見ているような気がした。それも、いつまでも目が覚めない夢を。歩いて行くと、朱を基調に原色で彩られた柱や、金糸で縁取りされた極彩色のタンカ、いかめしい造りの大扉が続いている。目をつぶっても、抱擁した仏と女神、火炎を背負った護法尊の姿がちらつく。
 女神の顔を見てぎょっとした。あり得ないことだが、自分が愛した女、摂政の娘の顔をしている! では、抱きつかれた仏の顔は? 僕自身の顔じゃないか。この幻を打ち破ろうとして、僕は大声でわめいていた。

 かの愛(いと)しき我が妹(いも)は
 娶(めと)られて去りゆき
 残されたこの身は
 炎に焼かれて悶(もだ)えぬ

(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:39| Comment(0) | 連載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする