2019年03月18日

二つの国のアリス(2)

 作者は続篇として『鏡の国のアリス』を書いた。ただ、これは二番煎じの感じがしないでもないが。小さくなったアリスが、チェス盤の上を冒険する物語である。鏡の中の世界であるから、言葉と現実がアベコベになる。丘のことを谷と呼んだり、同じ所にとどまるために、全速力で移動しなければならなかったり。植物や動物が口をきくのも面白い。ハンプティ・ダンプティにしたって、卵の怪物のようにしか思えない。
 これはイギリスの童謡『マザー・グース』の登場人物で、『鏡の国のアリス』でハンプティ・ダンプティがしゃべるナンセンスな言葉も、『マザー・グース』の一節のように感じられる。でも、イギリス人のユーモア感覚には、日本人はついていけない。日本人の感覚では、しゃれたことをさらりと言うのが粋なわけで、延々と同じ調子でやられると、しまいにはうんざりしてしまう。超訳をした訳者には脱帽するのだが。
 アリスはチェス盤を横断して、ついに自身が女王となる。女王になったアリスは、サディスティックな性向を見せるようになる。パーティーに出てきたマトンの脚やプリンが口をきくのに憤慨し、赤の女王をつかんで激しく揺さぶる。実はそれはアリスの飼い猫だったわけだが。『鏡の国のアリス』も絵本で概要を読めば、冗漫さが省けて楽しめるのではないか。


参考文献
『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル著 山形浩生訳 Amazon)
『鏡の国のアリス』(ルイス・キャロル著 山形浩生訳 Amazon)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:19| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする