2019年01月12日

さくらももこの『もものかんづめ』(1)

 長谷川町子の『サザエさん』と、さくらももこの『ちびまる子ちゃん』が比較されることがある。『サザエさん』は昭和時代の平均的な家庭をモデルにしているが、長谷川自身は独身を貫いたので、作品は想像の産物である。何十年もアニメが放送されていて、それなりに面白いのだが、リアリティーはあまりない。いくつかのパターンを肉付けしているようで、人物に生気が感じられないのである。また、刺激も中和されている。ファミレスのご飯が、じいちゃんばあちゃんから子供にまで愛されるように、癖のない味付けになっている。
 さくらももこの『ちびまる子ちゃん』の方が、リアリティーが感じられるのは、ちびまる子ちゃんの一家が、さくらももこの育った家庭をモデルにしているからである。ただ、そのままではない。『ちびまる子ちゃん』に出てくるおじいちゃんは理想化された姿であり、現実には意地の悪い、嫌われ者の爺さんであったことは、エッセイ集『もものかんづめ』を見れば分かる。
 タイトルで明らかなように、さくらももこのエッセンスが詰められている。子供の頃、若い頃のさくらももこは、ちびまる子ちゃんが成長した姿であることが分かる。何でも思ったとおりにしようとするが、不思議と人に愛される。それは本人から漂うユーモアが、周囲を和ませるからだろう。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:52| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする