2019年01月05日

『毒舌日本史』の著者は?

「この本を書いたのは誰でしょう。日教組と共産党を目の敵にしています。大学の文科系は潰すべきだと主張しています。治安を乱すデモ隊には発砲しろとまで言っています。写真を見たら分かるでしょうか?」
「もしかして、永遠の何とかっていう本を書いた人ですか。最近、ウィキペディアからコピペした本がベストセラーになってるらしいですが」
「その人は剃髪してるわけじゃないでしょ。『毒舌日本史』の著者はお坊さんです。しかも、ただの坊さんじゃない。顕教にも密教にも通じていて、易学の本まで出している。洋の東西の歴史に造詣深く、登竜門の文学賞も取っている。しかも、参議院議員で川端康成の友達です」
 答えは今東光である。千利休の娘を主人公にした『お吟さま』で直木賞を受賞した。河内天台院の住職から、平泉中尊寺の貫首まで務め、大僧正にまで上り詰めている。明治生まれの人だから、皇国史観を信奉していて、神武天皇を実在の天皇として語っているが、偏狭な歴史観に凝り固まってるわけではない。
 平安時代の女流文学の隆盛に理解を示し、平家の文化が秀逸だったのに対し、源氏がいかに粗暴だったか強調する。頼朝の残忍さ、家康の陰気さを嫌い、信長の先進性を大いに評価している。僧侶だったということもあろうが、神道は仏教なくして宗教たり得なかったと喝破している。平田篤胤の復古神道が、実はキリスト教の影響で成立したことも、廃仏毀釈がいかに愚かな文化破壊だったかも。尊王攘夷の志士をゲバ棒振り回す学生にたとえ、琉球と密貿易していた薩摩を、金に汚いとして嫌悪している。
 作家は学者と違うわけだから、編年体の史書なんて書く必要がない。それよりも、歴史家が踏み込めない人間像や、一般に知られていない秘話を書けばいいというわけだ。信長によって焼き討ちに遭った比叡山が、延暦寺の再興を武田信玄に求めると、信玄は身延山の久遠寺を天台宗に改宗させようと言いだし、延暦寺側が辞退したというエピソードも紹介している。これなどは、高僧でなければ知り得ない話である。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:59| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする