2019年01月27日

ディーパック・チョプラの『ライフ・アフター・デス』について(1)

 全身麻痺の難病に冒された理論物理学者のホーキング博士は、人間の死を壊れたコンピューターにたとえた。コンヒューターが壊れて電源が入らなければ、保存された情報も取り出せない。死者の脳に蓄えられていた知識も、遺体が火葬にされてしまえば消滅する。人間機械論は18世紀にフランスで流行したが、現代社会では人間の死は消滅を意味する。人間の意識が脳の活動の結果に過ぎないなら、コンピューターが高度に発達すれば、人間の知能を上回るという考えも出てくる。
 では、余命数年のはずのホーキング博士が、50年以上も宇宙の研究を続けられたのはなぜか。探究心の強さが肉体の限界を超える研究を可能にしたのではないか。意識には肉体を超えた力があると考えられる。その一方、量子物理学によれば、この世界に安定した物質は存在せず、すべては波動に過ぎない。それを時空を伴った世界と認識しているのは、人間の意識であるという。
 インド生まれの医学博士ディーパック・チョプラは、前世の意識を持ったり、殺害されたときの傷を持った子供の例を挙げ、死後の世界が存在すると主張する。意識というものは、個体に限定されるものではなく、個体の周囲に広がるもので、脳を持たない植物でも、人間の意識を読み取ることができる。天才的な能力を表す知的障害者は、歴史上のある日の曜日を瞬時に導き出したりするが、これはそうした障害者が、アカーシャ(空)に蓄えられている情報、アカシックレコードにアクセスしているからではないか。(つづく)


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2019年01月23日

蟻の王様

 うろうろするばかりの蟻がいた。蟻にはやがて羽が生え、巣の外に飛び立った。蟻の王になろうとした羽蟻は、メスの羽蟻と巡り会った。怠け者同士相性が合った。本来は二匹で新しい巣を作るのだが、手っ取り早く他の巣を乗っ取ることにした。そこで、働き蟻をだまして巣の主を追い出すと、二匹そろって御殿に居座った。さて、子供を作って自分たちの王国を作ろうとしたのだが、一向に子供はできないのだった。
「虫の死体ばかり持ってきやがって、もっとおいしい物を持ってこい」
 腹が空いたオスの羽蟻は、思わず御殿の壁を突き破った木の根を食べてしまった。それを見た働き蟻は、二匹の正体を見破った。
「こいつらは森を食い荒らす白蟻だぞ!」


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2019年01月22日

マイルス・デイビスの《リラクシン》(2)

 今回紹介するのは、そのうちの《リラクシン》Relaxin'である。サックスのジョン・コルトレーンJohn Coltraneやピアノのレッド・ガーランドRed Garlandなどの演奏も楽しめる。1曲目のIf I Were a Bellは、もし私が鐘ならばというタイトル。鐘の音をなぞったユーモラスな導入部が、マイルス・デイビスのクールな世界に、いかにアレンジされているかが聴きどころである。
 2曲目のYou're My Everythingでは、美しいピアノの調べに口笛が入って、いったんは中断されるが、あなたは私のすべてというタイトル通りに、ひたむきな思いが込められた逸品である。
 3曲目のI Could Write a Bookは、自信に満ちた明るいメロディーである。本が書けたというタイトルで、最初と最後のデイビスのトランペットと、中ほどのコルトレーンのサックスの対照的な響き、軽やかさと重厚さが面白い。
 4曲目のOleoも有名な曲である。ここでは軽快なリズムで、息の長い延々と続くメロディーが演奏される。実験性の高い構成で、ここでもデイビスとコルトレーンの技が競われている。
 5曲目のIt Could Happen to Youも、抒情的で明るい響きが耳に快い。デイビスのかすれたトランペットの響きに配慮して、ここではコルトレーンのサックスは控え目である。
 6曲目のWoody 'n' Youでは、それまでのかすれたトランペットが、力強い演奏に変わっている。コルトレーンの重厚さを、トランペットで表現したといった印象である。このアルバムの中では異色の演奏である。作曲がディジー・ガレスピー Dizzy Gillespieと知って、さもありなんと納得した。ちなみに曲名の意味は「ウディとあなた」で、サックスとクラリネットの奏者だったウディ・ハーマンWoody Hermanに捧げられた曲である。


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