2018年12月17日

猫の家出

 うちの庭で生まれた二匹の兄弟猫を飼いはじめて、早くも二年半の月日が経っていた。白い毛の兄と、茶色い毛の弟は性格がかなり異なる。兄の方は猫らしいマイペース。遊んでほしいときは「遊んで、遊んで」と寄ってくるが、気が向かないときは、いくら声をかけてもそっぽを向いている。一方、弟の方は警戒心が強いのだが、甘えん坊でこちらが声をかけると、返事をしてくれる。
 さて、先日、弟の方が家出をした。玄関が開いたわずかのすきに飛び出した。もとは外で飼っていたから、いつも窓際で外を見ていた。何度か逃げ出したのだが、夕方までには連れ戻していた。ところが、今回はなかなか捕まらず、夜になってしまった。
 餌でおびき寄せたりしたが、玄関に入ったところで、ドアを閉めようとして、逃げられてしまった。それを繰り返すうちに、手の内を知られたのと、ドアを勢いよく閉めたことが、猫に恐怖心を与えたのだろう。これは危険なことで、下手をすると、ドアに猫がはさまって致命傷を負わせてしまう。
 こちらが声をかけると、返事をしてくれるのだが、ドアにはさまれそうになってからは、こちらに近づかなくなり、目が合っただけで逃げ出すようになった。動きもすばしっこくなり、野良猫の野生が戻ってきたかに見えた。ただ、鳴き声が悲鳴のようにも聞こえる。寒いからうちに入りたいのと、このまま自由でいたいというジレンマにとらわれていたのか?
 そうして三日三晩が過ぎた。ストーブの前の席に座るほど寒がりなのに、霜が降りる寒さでどうしているのかと思った。餌と水は出しておいたが、十分には食べていなかったのだろう。三日目には寒さに耐えかねて、動きが鈍くなってきた。
 その日の夕方、庭の草の中にはまって、じっと震えていた。餌を口もとに持っていくと少し食べ、体にも触らせてくれた。タオルで包むように抱いて、家の中に戻すことができた。
 寒かったのだろう。クシャミをしていた。餌を食べると、疲れ果てていたのか、ストーブの前で眠り続けた。目が覚めると、元の甘えん坊に戻っていた。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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ラベル:猫,ネコ,家出
posted by 高野敦志 at 03:14| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする