2018年12月02日

幸福駅に千社札?(4)

 オレンジ色の車両が二両、残された線路の上に設置されている。向かって左は、当時の車両のままで、中は風がない分暖かいが、何だか錆臭いような。ブルーの直角の向かい合った座席。ただ、厳寒の北海道らしく、車両の前後は壁で仕切られ、その先にしかドアがない。寒気が直接客車に入らないようにするためだ。
 もう一つの車両は、内部がすっかり新装され、しゃれた椅子とテーブルが並べられていた。壁には幸福駅で結婚したカップルの写真が並べられている。広尾線が廃止される前から、愛の国(愛国駅)から幸福行き(幸福駅)が売れていたから、廃線後もここは若いカップルの聖地になっているのだ。
 店舗の中で開いているのは、幸福駅の切符や小物などのお土産を売っているおばあさんの店だけ。食べ物を売っている店はない。喫茶店などは冬眠の期間に入っていた。友人は弟と自分のために、幸福駅の切符を買っていた。今日の日付も入れてくれるとのこと。
 ここで一時間半近く過ごすのはきつかった。先ほどバスを下りたのは下車専用だというので、路線バスの停留所まで歩いていった。日が当たっていても、吹きさらしで待つのはつらい。しかも、まだ三時にもなっていないのに、日は西に傾いている。本土の東端にある道東では、東京より三十分も早い四時過ぎには、日が沈んでしまうらしい。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:55| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする