2018年11月21日

木次線は「きすきせん」(5)

 奥出雲おろち号は、折り返す形で木次駅に到着した。通常は木次と備後落合の間で運行されているのだ。そこから普通列車に乗り換え、宍道駅に戻った。
 あとは特急やくもで米子駅に出ると、みやげ物を買って夕食を取った。行きと同じように境線に乗った。鬼太郎の絵が描かれた車窓からは、夕陽を浴びた大山の姿が映し出された。いよいよ旅も終わりだな。
「今日は最高の登山日和だったね」
 昨日の山頂を思い返して友人が言った。しかし、登山を今日にずらすことは不可能だった。米子空港駅で降り、長い渡り廊下を歩いていく。すべてはここから始まったのだった。ようやく日暮れが迫ってきた。
 空港の売店で時間を潰した。午後八時二十五分発の羽田行きに乗った。滑走路を一周してから離陸した。闇に沈んだ夜景の中で、ぽつんと高い位置に光が見える。
「あそこが大山だよ」と友人が言った。
「今回の旅でどこが一番良かった? 足が痛くて大変だったけど、やっぱり大山だな」と答えた。だからこそ、飛び立ってからも名残を惜しんでいたのだ。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:28| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする