2018年11月30日

幸福駅に千社札?(3)

 さて、空港に到着後、あわただしく帯広駅行きのバスに乗った。旧広尾線の幸福駅までは十分弱。下車する人が多いと思っていたが、下りたのは友人と僕の二人。しかも、周囲には何もない。あるのは雪化粧した畑ばかり。気温は零度で、日差しは暖かだが、じっとしてるだけで震える寒さだ。
 唖然とした。自分はこれを見るために、北海道に来たというのか。彼方にオレンジ色の気動車が二両見える。あそこが幸福駅というわけか。晴れ上がった青空だけが救いだった。
 とにかく空気が冷たい。寒いから余計に腹が減る。熱いラーメンでも食べたいな。思った途端に無性に食べたくなり、幸福駅がラーメン屋に見えてきた。これは廃線当時の建物ではない。老朽化した駅舎の代わりに、廃線後に再建された物だ。駅のプレートだけは縁が錆びていて、かつての駅舎の物が取り付けられたのだろう。
 駅舎の中は、愛国駅から幸福駅行きの巨大な切符が、千社札のように貼ってある。しかも、壁がすっかり隠れ、切符の上に切符が重なっている。二人の幸せを願うメッセージも書かれている。駅舎の前には鐘が吊してあり、カップルが二人で鳴らして、幸福駅行きの切符を貼る。見れば、ここに来ているのは、若い人ばかりだ。(つづく)


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2018年11月29日

ギターの音

 ジャズで用いられるギターは、CDの音では充分に再現されないものだと思っていた。というのも、若い頃に好きだったウェス・モンゴメリは、1960年代までの録音であること、僕が聴いていたのは、CDが開発されたばかりの、まさしくレコードを劣化させた音だった、からである。
 現在では、CDのリマスターによって、音質の改善がなされている。僕が聴きたいのは、ギターが奏でるメロディーではなく、ギターという楽器そのものが出す音である。弦の震えや軋み、ボディ内部での反響の全体である。高校時代、音楽の授業でギターの弾き方を習ったが、コードを覚えることすらしなかった。ただ、ギターがどんな音を出す楽器であるかは知っている。
 MQA-CDというハイレゾCDは、352.8kHz/24bitという超高音質を、折りたたみという技術でCDの中に押し込んでいる。通常のCDが44.1kHz/16bitであることを考えると、その差は歴然としている。DSDなど従来のハイレゾだと、数ギガの大容量を要する物が、数百メガの容量で入ってしまうのだから、ものすごい技術だということが分かる。
 ウェス・モンゴメリのギターも、MQA-CDで聴くことで、感動的な音に変わった。ただ、ギター自体の音を聴くには、ソロの演奏の方がふさわしい。Audio Accessoryという雑誌の冬季号に、MQA-CDが付録としてついているというので買ってみた。収録されているのは若手のジャズ・ギタリスト松尾由堂のアルバム。MQA-CDに初収録された作品には、《Sound of Guitar》というタイトルがつけられている。僕が求めていた、ギタリストや周囲の者しか聴くことができない、ギターが出すあらゆる音が収録されていた。


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2018年11月28日

幸福駅に千社札?(2)

 11月末の勤労感謝の日だった。快晴で雲一つない。11時35分に、羽田空港を出発した。房総半島まで望めるほど、上空も晴れ上がっている。やがて窓から見えたのは、霞ヶ浦と北浦。東北上空は雲が多かったが、北海道が近づくと雲が晴れてきた。日高山脈を横切ると、平地でもうっすら雪化粧している。昨夜1センチほどの積雪があったのだ。
 午後1時にとかち帯広空港に着陸した。天候は晴、気温は零度で真冬並みの寒さだ。厚手のセーターにジャケット、その上にコートを着て帽子をかぶると、着ぶくれして雪だるまみたいになったが、それでもまだ寒い。カイロを背中と靴の中に入れた。
 これから向かうのは幸福駅。といっても、鉄道が走っているわけではない。かつて帯広と広尾の間には、広尾線というローカル線が通っていた。昭和の初めに開通し、日高本線と接続する計画だったが、様似と広尾の間についに線路は敷かれず、国鉄が民営化する直前に廃止されてしまった。一方の日高本線も、2015年(平成27)の台風で海岸の線路が流出し、様似と鵡川の間は、廃止される流れとなった。(つづく)


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