2018年08月07日

アート・ブレーキーの《チュニジアの夜》

 正確にはアート・ブレーキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズによる演奏で、ドラムはアートブレーキー、テナー・サックスはウェィン・ショーター、トランペットはリー・モーガンが担当している。アート・ブレーキーの最高のドラム演奏が聴ける。
 個人的な印象としては、ドラム、ベース、ピアノ、サックスまたはトランペットというふうに、ジャズの演奏の多くでは、どの楽器が前面に出るかという意味で、ヒエラルキーが存在するように思える。その意味では、ドラムは裏方に徹することが多い。
 ところが、アート・ブレーキーとジャズ・メッセンジャーズの「チュニジアの夜」では、ヒエラルキーが引っ繰り返り、アート・ブレーキーのドラムが前面に出る。和太鼓のようにほとんどドラムのリズムだけで、呪術的な迫力のある演奏をベースとピアノが下支えしている。そこに、ウェィン・ショーターのテナー・サックスとリー・モーガンのトランペットが警笛のように響き渡る。
 1曲目の「チュニジアの夜」が圧巻なのだが、2曲目の「シンシアリー・ダイアナ」では、サックスとトランペットによるスリリングな世界が展開する。
 3曲目の「ソー・タイアード」はくたくたといった意味だが、斜に構えた感じで、夜の時間になると、たちまち元気になる若者の姿を表しているのだろうか。
 4曲目の「ヤマ」は憂愁が漂うメロディー。このアルバムの中ではもっとも静かな曲で、ピアノの演奏に続くリー・モーガンの高らかに吹くトランペットの響きが印象的である。
 5曲目は「小僧のワルツ」。アート・ブレーキーのドラム、次いで、ベース、トランペット、テナー・サックスと続く。親日家だったアート・ブレーキーは、題名に「小僧」という日本語の入った曲を選んだ。親分が子分である小僧に、見せ場を与えてやったという感じ。「チュニジアの夜」に次いで、意識の高揚を感じさせる演奏である。


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