2018年05月21日

しまなみ海道は尾道から(7)

 駅自体はそれほど小さくなかった。乗客をすし詰めにして、ロープウェイは十五分おきに運行している。神社の上を通過すると、急斜面に広がる住宅地と、多くの寺院が目に入る。三分の二ほど上ったところで、左方に千光寺が見えてきた。下方を見下ろすと、狭い陸地に道路と山陽本線が走り、狭い水道を隔てて向島が見える。
 三分で千光寺公園に到着した。改札を出たところに、猫駅長と寄り添うメス猫の像が飾られていた。尾道は猫の多い町としても知られている。岩合光昭の番組『ネコ歩き』が人気を博しているが、町の風景の一つとなった猫たちは、通りがかる人々の心を癒してくれる。猫が安心して歩ける町は、心のゆとりも与えてくれるのだ。
 ところが、犬や猫にマイクロチップを埋め込む法案が、近く上程されるらしい。逃げ出した飼い犬や飼い猫が、誤って殺処分されるのを防ぐという体のいい口実が設けられているが、いち早く義務化された欧米では、それが元で死ぬ子犬や子猫も出ているという。路地を歩き回る飼い猫や、地域住民が餌付けした地域猫が、そんな悪法のために姿を消してしまうのでは、という恐れが脳裏をよぎった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:04| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする