2018年04月24日

制作されなかった続篇

 渥美清の死とともに、「男はつらいよ」のシリーズは制作が困難になった。「寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」は、かつての作品を再構成したものである。ただ、山田洋次監督の脳裏には、「寅次郎紅の花」より先の物語が構想されていた。
 そこで、西田敏行を代役に立てて、続篇を制作するという案が出たが、山田監督は固辞したという。「男はつらいよ」というシリーズは、渥美清という俳優がいたからこそ成立した映画だという思いが強かったからである。
 このシリーズが未完という印象が強いのは、甥の満男と泉の関係が中途半端なままだからである。「寅次郎紅の花」で満男が泉の結婚式をぶち壊したのは、未撮影の「寅次郎花へんろ」で、満男が泉と結婚するという構想があったからである。それを見届けた寅次郎は、テキ屋稼業から足を洗い、幼稚園の用務員として働くことになる。寅次郎の最後のヒロインとなるのは、幼稚園の園長役となる黒柳徹子の予定だったという。子供たちと隠れん坊するうちに寅次郎は息を引き取り、町の人たちが寅次郎の思い出にお地蔵さんを作るという結末だったという。
 満男を泉と結婚させてあげたかったのだが、最後のヒロインがリリー役の浅丘ルリ子でなかったら、「男はつらいよ」のシリーズの印象は異なってしまっただろう。また、シリーズを完結させるためとはいえ、末期癌で苦しんでいた渥美清に、息を引き取る場面を演じさせるのも酷だったろう。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:22| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする