2018年04月23日

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇(第49作)

 テレビ版で奄美大島にハブを捕りに行き、逆に噛まれて「死んだはずだよ寅次郎」が、視聴者の抗議で映画として復活した。しかし、当初はこれほど長期にわたって制作されるとは、山田洋次監督も思っていなかったという。全五回で一旦制作は打ちきられるはずだったが、ついに全48作までシリーズは続いた。山田洋次監督は、その後のストーリーも構想していたが、末期癌の手術を受けた渥美清は、1996年(平成8)8月に帰らぬ人となった。この作品は車寅次郎への挽歌として、亡くなった翌年に制作されたものである。
 冒頭では満男が駅でピールを飲みながら、靴のセールスのための行商を行っている。寅次郎のような仕事をしているわけである。伯父さんは今頃何しているんだろうと、寅次郎のことを懐かしむ。満男が思い出すのは、寅次郎がリリーと出会った頃のこと。満男が回想するという形で、「寅次郎忘れな草」「寅次郎相合い傘」の一部と、「寅次郎ハイビスカスの花」の大部分が再構成され、それを満男の回想譚という形で埋め込んである。
 リリーが登場する作品には、前回の「寅次郎紅の花」もあったわけだが、寅次郎とリリーがともに若く、もっとも幸せそうだったのは、「寅次郎ハイビスカスの花」の頃である。沖縄で病み上がりのリリーと寅次郎が、夫婦のような同棲生活を行っていた時期である。
 前作でリリー役の浅丘ルリ子が、渥美清の体調の悪さを見て、これが最終作になるだろうから、寅次郎とリリーを結婚させてほしいと、山田洋次監督に願ったが、かなえられることがなかった。そこで、シリーズの最終作の中で、リリーと寅次郎が同棲していた時期を再構成して、車寅次郎に対するお別れ会をしたというのだろう。
 この作品の大部分は、「寅次郎ハイビスカスの花」から成っており、それを再び見たという印象が強い。やっぱり、一番の見どころと言えば、リリーが「男なんかの世話にはなりたくない。夫婦だったら別よ」と洩らし、照れた寅次郎が「所帯なんか持つ柄か」と言い放つと、「あんた、女の気持ちなんか分かんないのね」と涙を流す場面である。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:21| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする