2018年04月10日

厳島神社と弥山(5)

 五重塔の奥には紅葉谷公園がある。前回来た折には、山の斜面で鹿が草を食んでいるのを見た。鹿笛という鹿をおびき寄せるときに使う笛の音は、以前聞いたことがあるのだが、それとそっくりの寂しげな声で鳴くのを初めて聞いた。

 奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき

 猿丸大夫の和歌のイメージにぴったりの光景だった。ただ、鹿せんべいを買ってくると、のどかな風景は一転してしまった。余りの鹿の食欲には、恐ろしさすら感じたほどだ。ただでさえ丸く大きな瞳の色を変えて、追いかけてくるさまには。
 ただ、これは二十年余り前の光景である。現在では増えた鹿の個体数を減らすために、鹿せんべいの販売は中止され、餌付けも禁止されている。餓死によって頭数を減らすためだという。たしかに当時より頭数が減っているのだが、やせこけてよろよろした鹿は哀れで、観光地にはふさわしくないのではないか。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 12:11| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする