2018年04月04日

厳島神社と弥山(4)

 出口の前には宝物館がある。最大の文化財は、平家が収めた「法華経」や「阿弥陀経」「般若心経」などの仏教経典で、その他、高舞台で舞われた舞楽面や、大鎧や大刀(たち)などの武具、玉眼をはめ込まれた狛犬や、雲母で装飾された檜扇(ひおうぎ)などである。
 今回も厳島神社の本殿を参拝するつもりだったのだが、時間の関係で周り損ねた。その代わり、脇の階段を上って、前回は詣でなかった千畳閣に向かった。豊臣秀吉の死によって、板壁や天井板などのない未完成な姿であるが、太い柱に支えられた豪放な造りとなっている。現在は秀吉を祀る豊国神社となっているが、江戸時代までは大経堂と呼ばれていた。ここには本来、釈迦如来が祀られて、僧侶による読経が行われていたのである。
 かつては五色の幕が張られ、金色の瓔珞(ようらく)などが天井より垂れ下がり、本尊の前で数十人の僧侶による読経の声が響き渡っていたことだろう。明治の初めにすべて取り払われて、中央に白木の神棚が置かれるばかりの殺風景な風景になってしまった。絵馬の一部は江戸時代の物であるが、大半は明治以降の物である。自身が造営した大経堂に祀られた秀吉が、果たして喜んでいるかどうか。
 ここが仏教施設だった証拠は、脇に立つ朱塗りの五重塔である。釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩が祀られていたが、本殿の弁財天や大経堂の釈迦如来とともに、すべて大願寺に移された。五重塔内部の壁画は、消されずに残っているらしいが。
 神仏習合の施設で五重塔が破壊されなかったのは奇蹟的である。久能山東照宮の五重塔も、鶴岡八幡宮寺や石清水八幡宮護国寺の大塔も、破壊されてしまったからである。また、仏像を取り払った五重塔が厳島神社の所有というのも、何だかおかしな話である。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:17| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高野敦志編『高野邦夫詩撰』(pdf)

 高野邦夫は昭和3(1928)年、現在の川崎市幸区に生まれました。太平洋戦争末期に予科練に入隊。戦場に送られる前に終戦を迎えました。戦後は国語の教員を務めるかたわら、詩を書き続けました。日本詩人クラブや俳人協会の会員でした。平成9(1997)年、敗血症で亡くなりました。享年68歳でした。生前刊行された父の詩集、および遺稿から選び出した詩篇を『高野邦夫詩撰』としてまとめました。今回はパソコンでも簡単に開けるpdf版をアップロードいたします。パソコンに保存してからご覧下さい。
 なお、iTunesでダウンロードした場合、マイミュージックの下にiTunesのフォルダがあり、iTunes Music、その下にpodcasts、さらにその下のフォルダにpdfファイルは入ります。ダブルクリックすれば、Adobe Readerですぐに読めます。フルスクリーンモードで表示すると、モニターでも読みやすいと思います。下のリンクをクリックして下さい。
kunionoshi.pdf

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。

以下に高野邦夫の著作を挙げます。

詩集

『寒菊』(1962 五月書房)
『氷湖』(1978 昭森社)
『燦爛の天』(1980 昭森社)
『定時制高校』(1982 昭森社)
『川崎』(1983 昭森社)
『修羅』(1984 昭森社)
『彫刻』(1985 昭森社)
『曠野』(1985 芸風書院)
『銀猫』(1986 昭森社)
『日常』(1987 昭森社)
『川崎(ラ・シテ・イデアル)』(1989 教育企画出版)
『短日』(1991 吟遊社)
『峡谷』(1993 吟遊社)
『鷹』(1994 吟遊社)
『敗亡記』(1995 吟遊社)
『廃園』(1998 遺稿 吟遊社)

句集

『高野邦夫句集』(1987 芸風書院)


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posted by 高野敦志 at 03:12| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする