2018年03月26日

男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)

 満男のガールフレンド泉が、同級生の結婚式で宮崎に向かう。一方、油津で床屋を営む蝶子と親しくなった寅次郎は、髪結の亭主のように居候している。蝶子と城見物をしているところで泉と出会い、階段を踏み外して足をけがしてしまう。その知らせに柴又は大騒ぎとなり、満男は飛行機に乗って宮崎に向かう。ただ、寅次郎のことが心配というより、泉と会いたかったのが本音のようである。
 蝶子の家には、船乗りの弟竜介が帰宅していた。満男は寅次郎のもとに向かうが、泉が竜介と親しく話しているのが面白くない。竜介に嫉妬しているのである。その誤解が解けると、急に無邪気に喜んでいるところを見ると、青春しているのは満男の方だということが分かる。
 一方、寅次郎は蝶子に好感は抱いているものの、かつてのように夢中になることもなく、世話になったことに礼を言い、満男たちと柴又に帰ると蝶子に告げる。すると、軽い気持ちで同情されていたのかと、蝶子は怒り出してしまう。寅次郎としては、青春は懐かしむものとなっており、満男を通して遠くから眺めた方がいいのだろう。
 柴又にまた、いつもの日常が戻ろうとしていた。満男も大学生活を再開するわけだが、泉の母礼子が手術することになる。泉は勤めていたレコード店を辞め、母親の住む名古屋に戻ることになる。満男は引き裂かれる思いで、東京駅に行って別れを惜しむのだが……。
 従来の話のパターンでは、柴又に戻ってきた寅次郎が大喧嘩して飛び出し、旅先でヒロインと出会うという形を取るのだが、今回は寅次郎の恋愛が一段落するまで戻らない。タイトルは「寅次郎の青春」とあるが、実際は「満男の青春」といった方がいいのではないか。寅次郎はもう人生を達観したような境地にあり、恋愛に関しても淡泊になっているようである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 12:33| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする