2018年03月21日

広島と原子爆弾(3)

 当時も原爆ドームを見たわけだが、日記には大して書かれていない。今回は友人との旅だが、改めてその前に立つことにした。原爆ドームは広島城から徒歩で行ける範囲である。ちなみに、広島城も原爆で吹き飛ばされ、残った石垣の上再建された。外観ばかりは以前と同じく木造に見せかけているが、要するに、歴史博物館なのであって、建物自体に価値があるわけではない。
 さて、原爆ドームは被災当時、広島県産業奨励館と呼ばれていた。戦後七十年以上の歳月が経ち、茶色にすすけた廃墟のような印象を与える。建物の半分は倒壊し、柱の鉄骨も一部は熱線でねじ曲がっている。原爆の恐ろしさを視覚的に理解させるために、あえて取り壊さずに残してあるという。
 これは我々の理解を超える出来事であっても、現実に起こったことなのだ。触れてはならない技術に触れたために、非現実が現実の街と人間を、地上の太陽で焼き尽くした惨劇なのである。それが空中で爆発したかどうかについては、疑問視する向きもあるようだが。
 青空のすがすがしい青天の下で、観光客が原爆ドームを、美術館のオブジェか何かのように写真に撮っている。核兵器の恐怖を忘れてしまっているからだろう。日本ではいまだに、福島第一原発の爆発による放射能汚染が、いまだ進行中だというのに。目に見えないものを人間は理解できない。だから、原爆トームも青空の下で見ていると、悲惨な現実が絵空事のように感じられてしまうのだ。


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2018年03月20日

広島と原子爆弾(2)

 修学旅行では新幹線に乗った。広島には五時間余りかかった。原爆資料館とも呼ばれる広島平和記念資料館を見学したのだが、「あまりの酷さに目をおおうばかりであった」としか日記には書かれていない。衝撃的で言葉にできなかったのだろう。
 地上を太陽の火で焼いたようなものだから、懐中時計も弁当箱も、鉄骨さえも溶かしてしまった。焼けただれたケロイドの背中も痛ましいが、光った瞬間に人間の影だけが、壁面に残された写真が衝撃的だった。人間が焼き殺されて、人の形に壁が白く残ったからである。
 これは記憶に残った一部である。原爆の悲惨さについては、丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」で知っていたつもりだったが。これ以上言葉にするのもはばかられる。その日の夜、宿泊したホテルで、被爆者のおじさんの体験談を聞いた。その中で同じクラスの女子生徒が、「原爆のおかげで戦争が終わったというのは本当ですか」と質問した。当時の僕らはそのように洗脳されていたのだ。
 それに対しておじさんは、原爆投下はアメリカの核戦略の発端であり、ソ連の参戦によって戦争が終結したという印象をそぐためだったこと、核保有国による核実験で、地球の周囲に放射能の膜ができて、我々も知らずに被曝していると答えた。(つづく)


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2018年03月19日

広島と原子爆弾(1)

 僕は今までに三度広島を訪れている。最初は1979年高校の修学旅行で、次は1996年、そしてつい最近(2018年)である。それぞれ訪問した場所が異なるから、それらを組み合わせて、広島についての印象をまとめてみようと思う。
 最初の訪問は四十年近く前のことであり、記憶も断片的にしか残っていない。ただ、古い日記が残っていたので確認してみたが、ろくなことが書かれていない。修学旅行に出発する前、高校で「はだしのゲン」のアニメを見せられた。原爆投下の瞬間、人々が放射線に焼かれ、眼球が溶けていく場面があった。十六歳の少年だった僕には、とてもショッキングだった。
 その瞬間、他のクラスの男子生徒が、バカにするような笑い声を上げた。それを見た男性教諭が、「許せない」と思ったのだろう。力任せに生徒の頬を平手打ちにした。パシッという大きな音が、あの衝撃的な映像と重なったため、いまだに鮮明な記憶として残っている。(つづく)


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