2018年02月24日

釧路湿原は東から(2)

「時間的に厳しいんじゃないかな」と友人は答えたが、どうしても細岡展望台が見たいと、僕は言い張った。あれを見なければ、最高の眺めを目にしたことにはならないのだから。砂利道を走っていくと、小石がはじき飛ばされ、車にぷつぷつぶつかり、土煙で車の後ろは見えなくなる。
「今、釧路湿原の中を走っているんだよ」と友人は言った。釧網本線の踏切を渡ると、ようやく舗装された道路に出たが、メインテナンスがされていないのか、ひび割れがひどく激しく揺れる。
 細岡展望台は細岡駅ではなく、釧路湿原駅に近い。駐車場に車を止めて、やはり坂道を上っていく。コッタロの方とは違って、だらだら坂の砂利道である。遠望するためには、途中の階段は登らずに、坂を上りきる必要がある。
 標高は余り高くないが、視野が開けている。釧路湿原をスキャンするように、パノラマの眺望が見渡せるのだ。草に覆われた湿原をゆるやかに流れる釧路川、光を反射する水面、川岸で風になびく木々の枝まで見える。視野の届く限り、ほとんど人工の物は目に入らない。なだらかに伸びる地平線、雲間から下りる光線まで、湿原のあらゆる姿を遠望させてくれる。
 広大な湿原の中に、すべての生命が宿っている。縄文時代が終わって、海面が遠くに去ってから、命の受け渡しを繰り返しながらも、この光景は大きく変わることなく続いている。悠久の時間を経ても変わらない自然のおおらかさに、女性的な優しさを感じてしまうのだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 14:07| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする