2018年02月14日

時を止める湖面(2)

 川湯温泉からバスで摩周湖に行く場合、硫黄山を経由するようになっているが、現在では本数が極端に減っている。それは摩周湖へ行くバスも同じで、摩周第三展望台で降りて、次のバスで第一展望台に移動なんていうのも難しくなっている。
 硫黄山の駐車場に友人は車を止めた。僕はこれで三度目になる。初めて来たのは、二十一歳の時だった。サークルの仲間に教えられて、移動車で販売していたソフトクリームを食べた。二度目は三十三歳の時で、開業したレストランで売っていた。今回もまた、乳脂肪分たっぷりのソフトクリームを食べた。
 レストランの裏側では、崩れかけた山体のあちこちから、硫化水素が噴き出している。卵の腐った匂いが漂っている。噴き出すガスで、ところどころ霞がかかっている。平野の真ん中に、何でこんな荒涼とした山が、と思ってしまいそうだが、ここはカルデラの内側である。火口の底を歩いているというわけだ。地下深くには遠い未来に巨大噴火を起こすマグマが、今も眠っているのだ。辺りに響く轟音は、魔物のいびきを聞いているようなものだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:20| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする