2018年02月05日

男はつらいよ 知床慕情(第38作)

 とらやのおいちゃんが入院しているところに、寅次郎は帰ってくる。休業していたとらやを開店することになり、寅次郎は店で働くことになったが、堅気な仕事には向かない性分、怒ったおばちゃんがとらやをやめようと言い出したのを漏れ聞いて、寅次郎は肩を落として柴又を去る。
 寅次郎が向かったのは知床だった。ヒッチハイクで獣医の順吉の車に乗せてもらい、そのまま、居候することになる。妻を失った順吉には一人娘のりん子がいた。反対を押し切ってした結婚に失敗し、故郷の知床に戻ってきたのだが、父と娘で顔をつきあわせるのは気まずい。寅次郎が間に立って、二人の仲を取り持つことになる。
 順吉の身の回りの世話は、スナック「はまなす」のママ悦子がやっていた。二人は突っ慳貪な会話しかしないのだが、実は惚れ合っているのではないかと、寅次郎はにらんでいる。そこで今度は、順吉と悦子を結ばせようとするのだが。
 順吉を演じたのは三船敏郎である。黒澤明の映画『羅生門』や『七人の侍』で好演した俳優である。大正生まれの三船が演じた順吉は、頑固一徹でかわいい娘りん子に対しても、本心を隠したままつらく当たる。大正生まれと言えば、第二次世界大戦で戦地に送られた世代である。頑固さにかけては、続く昭和一桁の父親よりまさっていた。
 それを見ていて、中国大陸で軍医をしていて、終戦後に個人病院を開いていた一人の医師のことを思い出した。父親に逆らって画家を目指した娘を決して許そうとせず、母親は娘と密会することしかできなかった。順吉のりん子に対する態度を見て、連想せずにはいられなかった。予科練に入隊していた僕の父も、頑固さでは相当なものだったが、娘である僕の妹には甘かった。
 りん子を演じていたのは、僕の世代にはアイドル的存在だった竹下景子である。『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』では、松村達雄が演じた住職の娘朋子役だった。清冽な印象を持っていた竹下が、朝ドラの『わろてんか』でついに祖母役で登場したのを見て、時の流れというものを感じさせられた。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:41| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする