2018年01月19日

知床は記憶の果てに(7)

 ショックだったのは、滝登りできなくなったことだけではない。知床大橋の方面も通行止のままで、カムイワッカ展望台までも行くことができなかったことだ。かつて歩いた道も立ち入り禁止となっていた。硫黄山の登山口も、その先にあるので、登山を希望する者は自己責任で申請してから、立ち入り禁止区域に入ることになる。
 たしかに、空の色も滝の入口も、当時のままだったけれども、入れないところばかりで、記憶をたどることができない。世界遺産になったせいで、安全性が重視されるあまり、あれもだめ、これもだめとなり、自然を外側から見るしかなくなったわけだ。
 万一事故が起きても、昔の人間だったら、運が悪かったと諦めるだけだったが、外国人観光客が増えて、もし安全管理に問題があると、億単位の損害賠償を請求されため、事前に行動に制限をかけてしまったのだろう。
 やせこけた子狐が、物ほしげな顔をして、砂利道を通り過ぎていった。餌付けされた狐は、車に近づくことで轢かれてしまう。狐に触るだけでも、エキノコックス症に感染する恐れがある。哀れな感じがしても、座視しているしかなかった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:35| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする