2018年01月18日

知床は記憶の果てに(6)

 知床五湖は後回しにして、終点のカムイワッカ湯の滝でバスを降りた。僕が初めて知床を訪れた一九九一年当時、バスはさらに先の知床大橋まで延びており、しかも自家用車もバイクも自由に出入りしていた。ただ、二度目の一九九六年には、落石の危険があるとして、知床大橋への通行は禁止されてしまった。
 さらに、現在では知床五湖より先は、シャトルバスへの乗車を求められているわけで、世界遺産指定による観光客の増加を見越して、安全最優先の措置が執られた結果らしい。訪れているのは中高年と家族連ればかりで、かつてあふれるほどいた大学生の姿が、まばらにしか見られなかった。
 カムイワッカの滝を登ることが、ほぼ不可能になったのが大きいのではないか。若者の冒険心をくすぐる湯の滝上流への立ち入りが禁止され、知床の大自然を肉体で感じる機会を奪われたことが、魅力をそいでしまったとしか思えない。
 ユースホステルの激減も、一つには少子化の影響や相部屋を嫌う内向的傾向が大きいのだろうが、今の若者は学費のためにアルバイトに追われ、ブラックバイトで長い休みも取らせてもらえないという。知床で青春の思い出を作ることも、今の大学生には贅沢になってしまっているようだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:36| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする