2018年01月15日

男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)

 寅次郎は仲間と、五島の青砂ヶ浦に寄った。岸辺で老婆が倒れたので、家に連れていってやる。その夜、老婆のうちで酒を飲み、歌って踊っての夜を過ごす。老婆は体調が急変し、寅次郎に感謝しながら息を引き取る。五島はキリシタンの島であり、老婆の葬儀もカトリックの教会で行われる。
 そこに孫娘の若菜が、東京から戻ってくる。若菜の母は若い男に騙され、妊娠させられて若菜を生んだが、島の人に後ろ指をさされて自殺した。カトリックでは自殺は禁止されているから、老婆にとっては悲しみに追い打ちをかけられたことになる。そうした暗い過去を、老婆の孫娘も背負ってきたのである。
 東京に帰ってきた若菜を、寅次郎は訪ねていく。印刷会社をやめてしまった若菜に、寅次郎は就職の世話までしてやる。同じアパートには、司法試験を目指す民夫という青年がいた。密かに若菜のことを慕っていたので、寅次郎は民夫に恋愛指南を行う。「寅次郎頑張れ!」の良介や、「花も嵐も寅次郎」の三郎に行ったように。
 しかも、失恋したと思い込み、民夫が自殺未遂するところなど、良介の場合と似ている。「寅次郎頑張れ」の舞台は平戸だったが、今回は五島の中通島である。ともにカトリックの信仰が根づいており、最後に若い二人が結ばれる点も同じである。
 恋愛指南をする場合、寅次郎は相手の女性と一定の距離を保ち、首ったけにはならない。その点で、喜劇的な要素が薄いと言える。ふられて寂しく柴又を去る場面が、今回は見られないのである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:59| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする