2018年01月03日

男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎(第33作)

 この作品で久し振りに、寅次郎の舎弟川又登が登場する。テキ屋稼業から足を洗って、今は盛岡で女房と食堂をやっている。登は再会を喜んで、女房に酒や魚を買ってこい、店を閉めろと言うが、寅次郎は登に対し、堅気になったんだから、そんなことでどうすると諭して、すぐに店を出てしまう。寅次郎の後ろ姿は寂しげである。
 釧路に出た寅次郎は、理容師の風子と出会う。「フーテンの風子」のあだ名を持つ風子は、寅次郎が「フーテンの寅」と呼ばれていることを知ると意気投合する。この二人の関係は、寅次郎とリリーの関係に似ている。ただ、大きな違いは、風子がかなり年下なので、恋人同士にはなれないことと、風子にはサーカスでバイクの曲芸をやってるトニーという男がついている点である。
 風子はいったんは根室で理容師となるが、寅次郎とともに旅に出たいと言い出す。それに対して、まじめに働いて所帯を持てと風子を諭す。寅次郎は根室を後にするが、風子はトニーと恋仲になってしまう。
 柴又に戻った寅次郎のもとに、トニーが訪ねてくる。風子が病気だから会ってやってくれ、と言いに来たのだった。寅次郎は自堕落なトニーに、風子から手を引けと言う。風子はとらやで生活することになったが、寅次郎の干渉を知って、「私とトニーのことなのよ」と言ってとらやを飛び出していく。
 結局、風子はまじめな青年と結婚するのだが、後味としてはあまり良くない。トニーのことが表面的にしか描かれていない。いつもの寅次郎なら、トニーに対してもなにがしかのケアーがありそうなものだが、今回は風子との関係を切らせて放置している。まじめな青年との結婚式も、取って付けたような感じだし、結末の熊騒動も蛇足だろう。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:50| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする