2018年01月02日

エベン・アレグザンダーの『マップ・オブ・ヘヴン』

 脳神経外科医のエベン・アレグザンダーが臨死体験を描いた『プルーフ・オブ・ヘヴン』(原著)は全米200万部を突破する大ベストセラーになったが、それに続く今回の著書には、アレグザンダー医師のもとに寄せられた多くの手紙が挿入されている。
 前著を書き上げた後、全世界の神秘体験に関する文献を読みあさるとともに、瞑想の体験を深めてきたことで、臨死体験における感覚も再現できるようになったという。天国とのつながりは、臨死体験を経なくても可能だということを強調している。
 読書や瞑想を通して、アレグザンダー医師は一層死後の世界の存在を信じるようになった。プラトンの説くように、イデアの世界が真実であって、この世界の方が幻であるということを確信している。臨死体験を擬似的に再現するために、音楽を用いる研究も続けているとのこと。バイノーラル・ビートという、左右から異なる周波数の音を聴かせて、その差に当たる周波数の音が脳に生じる原理を利用した音楽である。これはモンロー研究所が制作しているヘミシンクと、基本的に同じ方法である。
 ロバート・モンローは「体外離脱」の体験以外に、死後の世界にも赴き、亡妻と再会したとされる。その体験に基づいた《ゴーイング・ホーム》というプログラムも公開されている。アレグザンダー医師の死生観は、少なからず、モンロー研究所の影響を受けていると見られる。人間は生死を繰り返しながら成長していくという主張も、モンロー研究所の見解に沿ったものである。
 こうして読み進めてくると、死後の世界の実在を信じたくなるのだが、その一方で、アレグザンダー医師の臨死体験は、細菌性髄膜炎に冒された大脳が、機能を回復し始めた時点で見た幻覚なのではないかという疑念は残る。では、我々に残された道は何だろう? 死んだら魂のふるさとに帰っていく、人間は肉体を超えた存在であると信じながらも、肉体の生きられる間にベストを尽くすのが、人間らしい生き方なのではないか。

参考文献
エベン・アレグザンダー『マップ・オブ・ヘヴン』(白川貴子訳 早川書房)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:12| Comment(0) | 宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする