2017年11月28日

エリコ・ロウの『死んだ後には続きがあるのか』

 立花隆には『臨死体験』という著書があり、数年前もNHK特集で臨死体験について語っていた。肉体の死後にも魂が存続すると信じられている理由の一つが、「体外離脱」という現象である。肉体から魂が抜け出て浮遊すると感じる体験である。ただし、脳の一部に電気刺激を与えたり、肉体の位置関係を司る機能が麻痺すると起こるらしい。
 心臓停止後に光の体験や恍惚感に浸るのは、苦痛を和らげるために脳内麻薬が分泌されるためで、臨死体験と呼ばれるものは、死を迎えつつある脳が見る夢の一種で、死後に魂が存続することはないだろうというのが、立花隆が下した結論である。
 今回読んだエリコ・ロウの『死んだ後には続きがあるのか』は、臨死体験を夢や幻覚とは異なるものととらえ、死後に魂が存続することに肯定的な結論を下している。
 その理由として、臨死体験では感覚も意識も冴えていること、脳の手術のために、心臓を停止させ、脳から血液が抜いた状態でも、意識が存続したことなどが挙げられる。また、臨死体験後に、ヒーリングや未来予知などの超常的な能力を獲得したり、音楽家としての才能を開花させたりなど、人格が大きく変容することもある。さらに、前世の記憶がある子供の存在なども、死後の魂の存続と、輪廻転生の可能性を示唆しているという。
 臨死体験の間には、時間と空間という感覚が消え、瞬間移動も可能になることから、物質である肉体が意識を作るのではなく、意識が物質を作るという仮説が提示される。量子論から見れば、物質はすべて振動する波動であり、意識が介在することで可能性の中から現実が選択される。その点で意識が世界を作り上げているというのだ。意識は肉体を超えた宇宙に基礎を持つものであり、死後もしばらくは個別性を維持できるというのが、エリコ・ロウの考え方である。
 エリコ・ロウはジャーナリストとして、死後の魂の存続を肯定しているわけだ。体外離脱の探求者であるロバート・モンローやウィリアム・ブルーマンなども、死後の魂の存続を認め、輪廻転生を繰り返して魂が成長していく可能性を示唆している。体外離脱の経験がある僕自身も、肉体の死が終わりではないという考えに与したくなる。これは死の恐怖を和らげるとともに、自殺を予防する効果がある。
 その一方で、量子論などを持ち出して、この世はすべて意識が作り出した幻だと結論づけるのは、最新科学の権威を借りて、近代化以前の迷信の世界に逆戻りするだけでないか、という疑念を捨てきれずにいる。

主要参考文献
エリコ・ロウ『死んだ後には続きがあるのか』(扶桑社)
立花隆『臨死体験』(文藝春秋)
ロバート・モンロー『体外への旅』(坂本政道監訳 川上友子訳 ハート出版)
ロバート・モンロー『魂の体外旅行』(坂場順子訳 日本教文社)
ロバート・モンロー『究極の旅』(塩崎麻彩子訳 日本教文社)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:31| Comment(0) | 宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする