2017年11月02日

男はつらいよ 翔んでる寅次郎(第23作)

 甥の満男が書いた作文に、おじさんがお嫁さんをもらって、お母さん(さくら)を安心させてほしいとあったのに、臍を曲げた寅次郎は、とらやを飛び出して北海道へと旅立つ。そこで、一人旅をするひとみと出会う。ひとみは見ず知らずの男の車に乗せられ、危うく襲われるところを寅次郎に救われる。
 今の北海道はどうか知らないが、誰もいない道を一人とぼとぼ歩いていた大学生の僕も、声をかけられてトラックに乗ってしまった。自分が何もなかったのは男であるおかげだろうが、ヒッチハイクなんて死語になりつつある現在と比べれば、随分のどかでいい時代だった。
 話を元に戻すと、結婚するかで悩んでいたひとみに対し、寅次郎は昔話を聞かせる。病気のおとっつぁんの薬のために、親ほども年の離れた男のもとに嫁ぐ娘の話を、である。寅次郎が語ったのは、江戸時代の妾奉公の話みたいである。ピントが外れているところが、いかにも寅次郎らしい。
 東京に戻ったひとみは、邦男と結婚式を挙げるのだが、お色直しでウェディング・ドレスに着替えたところで、ひとみは結婚式場から逃げ出す。タクシーで向かった先は、葛飾柴又のとらや。ウェディング・ドレス姿のひとみがとらやに入っていくところを見た人々は、寅次郎にお嫁さんが来たと噂する。寅次郎自身もそんな思いがして、翔んでる気分になる。
 結婚相手の邦男がとらやに現れ、最初はいやがっていたひとみだが、失恋のプロの寅次郎が邦男を励ますうちに、二人のわだかまりも解けていく。すべてを投げ出して家を出た邦男を見直して、ひとみは結ばれたいと思うようになる。恋心を抱いていた寅次郎は失恋した上に、二人の結婚式の仲人までする羽目となる。
 ひとみを演じたのは、まだ二十代だった桃井かおり。こんな顔していたんだと懐かしく思った。不器用な話し方するところなど、癖が強いのだが、化粧すると見違えるほどきれいで、話し方のぎこちなさと美しい顔がアンバランスな点も、なかなか味のある女優だった。そして、ひとみの相手役邦男を演じたのが、若かった頃の布施明である。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 12:05| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする