2017年10月30日

テレビ版「男はつらいよ」(2)

 テレビ版では妹さくらが、十数年ぶりに帰郷した寅次郎と、満員電車の中で再会するが、さくらは不審な男につけられていると誤解する。とらやで再会を喜ぶわけだが、寅次郎は早速、極道の仲間をとらやに呼び込み、どんちゃん騒ぎを起こす。おいちゃんの竜造も悪乗りしているので、おばちゃんのつねに座敷から引きずり出される。杉山とく子のおばちゃんは、三崎千恵子のおばちゃんと比べると、かなり気丈である。
 極道の仲間に酌をさせようとすると、さくらは自分は芸者じゃないとして断る。顔を潰された寅次郎は、かっとなってとらやを出ていくが、行った先は英語教師の坪内散歩の所である。娘の冬子に寅次郎が恋心を描くところや、坪内先生にうなぎを食べさせたいと思いながら、先生が急逝するところなど、映画版の第二作「続・男はつらいよ」に引き継がれている。
 では、大きく異なる点はどこかと言えば、おいちゃんとおばちゃんがとらやをたたみ、アパート暮らしを始めるところ。とらやは喫茶店に変わってしまう。寅次郎は異父弟の雄二郎と、ハブで一儲けしようと奄美大島に出かけるが、逆にハブに噛まれて命を落とす。さくらは寅次郎の死が信じられず、また帰ってくると思っているが、寅次郎の幻を見たことで、寅次郎の死を実感する。この結末に対し、視聴者から多くの抗議の声が寄せられたことが、映画版の制作につながったという。
 実際に見たのは第一回と最終回だけだが、映画版と比べると、やはり本格的なドラマというより、笑劇の延長といった感じである。手探りで作っているという印象が強い。とらやが葛飾柴又にあるという感じがしない。寅次郎が各地を旅して、新たな恋人を作るというパターンはまだ確立していない。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:09| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする