2017年10月23日

男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)

 木曽路を旅していた寅次郎は、博の父と出会う。久し振りだったので、寅次郎も最初は気がつかない。「寅次郎恋歌」以来の再会である。旅館に誘われた寅次郎は、芸者を呼んでどんちゃん騒ぎをする。人の好意にとことん甘えてしまう。天真爛漫と言えば聞こえがいいが。ある夜、寅次郎は博の父から『今昔物語』の一話を聞かされる。
 美しい妻を失った男が、亡き妻のことが忘れられず、月夜の晩に墓を掘り返し、棺を開けたところ、腐れ果てた妻の姿が現れた。それからというもの、男は生前の美しい姿を思い起こそうとすると、変わり果てた姿しか思い浮かばず、仏門に入ったという話だった。
 それを聞いた寅次郎は、またもや大いに反省し、柴又に帰ってからとらやの人たちに、人の世の空しさについて語る。「寅次郎恋歌」でも博の父から、人間の本当の幸せについて諭され、幸せを象徴する竜胆の花の話を繰り返していた。パターンとしてはほとんど同じである。
 ただ、寅次郎のにわか悟りは長続きしない。とらやの店員となった早苗を見た寅次郎は、またもや一目惚れする。早苗が夫と別れたことを知り、有頂天となってしまう。ただ、高校教師の添田が早苗を慕っていることを知り、寅次郎は自ら身を引いて、いつものように旅に出る。人の世の空しさを知ったのだろうか。それが教訓とならなかったからこそ、『男はつらいよ』のシリーズが続いたわけである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:38| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする