2017年10月09日

男はつらいよ 寅次郎頑張れ!(第20作)

 とらやの二階に、電気工事作業員の良介が下宿している。店先に現れた寅次郎を押し売りと間違え、ドタバタ劇が始まる。今回の作品は、昭和時代の雰囲気に満ちている。下宿人を置くなんて、ほとんどしなくなったし、押し売りも珍しくなった。歯ブラシや石鹸を一つ千円で売りつけても、警察に捕まる危険を考えたら、割に合わないからである。
 そもそも、寅次郎がやってるテキ屋の口上も、とんと見かけなくなった。あれは一種の演芸で、口車に乗せられ売りつけられても、大して損した気はしなかったものだ。若者同士のぎこちなくて純情な恋愛も、今の風俗からは消えてしまった。初めてのデートで、いきなり告白なんかしないし、ましてやふられたと誤解して自殺などしない。携帯電話やメールを使えばいいだけの話である。
 ふられたと誤解した良介は、二階でガス自殺を図る。下宿先でそんなことするのは人でなし。下手したら、とらやの建物全体を吹き飛ばして、おいちゃんおばちゃんもあの世逝き、二階だけ壊れるなんてうまくいくもんじゃない。まあ、喜劇なんだからリアリズムであれこれ言ってもしかたがないが。
 故郷の平戸島に戻った良介を、寅次郎は心配して訪ねていく。そこで、良介の姉、藤子に心を惹かれる。両親を亡くした姉が弟を母親代わりに面倒を見るなんていうのも、年が離れた姉弟でなければ成り立たない。これもまた、昭和時代を知らなければ、奇妙に映るに違いない。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 04:31| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする