2017年08月25日

ぼくはネコなのだ(53)

 いい気味だと思った。兄貴といっても、三十分早く生まれただけだし、体重だって大して変わらなくなっていた。ふさふさした白い毛をしている分、兄貴の体が大きく見えただけなんだから。
 その夜、兄貴はテレビの後ろで丸くなって眠っていた。目上のプライドをつぶされて、気が弱くなったのだろうか。ちょっとやり過ぎたかなと反省した。
 次の朝、えさを食べたあと、軽く運動したくなった。兄貴に声をかけたが、眠そうにあくびして寝てしまった。そこで、一匹で何かして遊ぶことにした。テーブルの下に、赤い色したビニール袋が落ちていた。この色は動物の血を騒がせると信じられている。牛に赤い布見せて突進させるって見世物が、スペインとかいう国にあるらしい。おじさんが話していたことを思い出し、ぼくもビニール袋に突進してみた。
 ところが、少々勢いがつきすぎて、袋の手の部分に頭が入ってしまった。もがけばもがくほど首に食い込んでくる。
「助けてくれ!」
 叫んだけど、兄貴は知らんぷりして寝ている。走ればそのうち外れるかもしれない。わけも分からずもがいたが、走れば走るほど、締めつけられて息苦しくなってきた。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

 
posted by 高野敦志 at 02:12| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする