2017年08月15日

ぼくはネコなのだ(52)

 いい加減、ぼくは腹が立った。兄貴を小学校に連れていったばかりに、しっぽを持って振り回されるし、こちらがどれだけ心配していたかも知らずに、えさに釣られてまたのこのこ出かけていこうというのだから。
「兄貴は食べるために生きているんだろ!」
「何言ってる。おまえこそ、愛想がないから何ももらえなかったんだ!」
 ぼくは我慢ができなくなった。いつものように、兄貴はこっちに来いとしっぽを振った。それを合図にぼくは兄貴に飛びかかった。普段ならそこで首根っこをつかまれ、投げ飛ばされるところだったが、いつの間にか兄貴と互角の体になっていた。
 人間たちは二匹のけんかを面白がってる様子だった。とくに、髪の短いおじさんは手をたたいて喜んでいる。ぼくは兄貴を追い回した。うちの中を何周回ったろうか。しまいには、兄貴は紙袋の中に逃げ込んだので、ぼくは袋の口を後ろ足で押さえると、兄貴を袋の中に閉じ込めた。身動きできなくなった兄貴の頭やお腹を、思う存分なぐってやった。すると、椅子に座っていたおばあさんが、変な歌をうたいだした。
「山寺の和尚さんは、毬(まり)は蹴りたし毬はなし。猫を紙袋(かんぶくろ)に押し込んで ポンとけりゃニャンと鳴く……」(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:46| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする