2017年08月07日

御嶽は神々を祀る杜(5)

 久高島に上陸した。イザイホーが行われた久高殿は御殿庭(ウドゥンミャー)と呼ばれる。琉球の赤瓦の建物は石の柱で支えられ、拝殿の中には何もない。神社の境内に当たるわけだが、観光客の立ち入りを拒んでいる。そのほか、外間殿では太陽や月・龍宮など七つの神を祀っている。クボー御嶽は琉球開闢神話に出てくる七御嶽の一つだが、男子禁制の地である。島の南側には、五穀の壺と黄金の瓜実が流れ着いたとされるイシキ浜がある。そこは海の彼方の理想郷、ニライカナイの遥拝所でもある。この島全体が神の島であり、草木や小石に至るまで、持ち出すことは禁じられている。
 珊瑚を積み重ねた塀が、昔ながらの赤瓦の屋敷を取り囲んでいる。島の中を歩いているのは老人ばかりだし、建物も数十年を経たご老体。時の流れに任せて生きているといった感じだ。家並みを少し外れると、畑が少し広がり、山羊や肉牛が飼われているくらい。どこまでも草原と林。といっても、高い木はなく、アダンの黄色い実やハイビスカスの赤い花を除けば、緑一色の単調な色が続く。
 島の中の多くは祭祀に関わる所で、うかつに入り込んではいけない。島の中を歩き回ってたどり着いたのは、徳仁港に近いイラブーガマ。イラブーが産卵に訪れる所である。複雑に入り組んだ岩の間を、潮が盛り上がるように寄せてくる。海底の岩にぶつかり、あたかも水が噴き出してくるみたいだ。潮の満ち干は海の呼吸だと言われる。岩の窪みに入り込んだ水は、戯れるように人には分からぬ言葉でしゃべっている。灰色の珊瑚礁とエメラルドグリーンの海、まばゆい光を映した波紋のきらめきがあるばかりで、見渡す限り人影はない。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 09:38| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする