一番奥は小さな洞穴の窪みで、天井からはは天(あま)の逆矛(さかほこ)に似た石柱が垂れ下がっている。石壇の奥には線香が焚かれた跡があり、右方の岩からは紙垂(しで)が下がっている。洞穴の縁より上はシダが生い茂り、昼でも薄暗くて涼しい。蝉と小鳥、それに虫の羽音しか聞こえない。
本土の山岳信仰を思い起こさせるが、沖縄では民間に仏教は広まらなかった。岩盤が大岩に倒れかかったような形で、三角形の洞(ほら)に見える所は、修験道における胎内くぐりを連想させる。母なる祖霊に詣でて、失われたつながりを取り戻すのだろうか。その奥からはかつては久高島が拝めたはずだが、今は木々に視界を覆い隠されてしまっている。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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ラベル:沖縄,斎場御嶽,山岳信仰