2017年08月17日

「んみゃーち」の宮古島(1)

 昼頃には那覇に戻り、国際通りで玄米ご飯とゆし豆腐の定食を食べた。ゆし豆腐というのは、おぼろ豆腐に似た塩味と鰹だしの豆腐汁である。食べ終わってから、みやげ物店などを見て回る。今回の旅では、すでに本島で四泊しているから、ちょっと愛着を感じ始めていた。今度いつ訪れるか分からないし。
 そして今、宮古島行きの飛行機に乗り込んでいる。同じ沖縄県内とはいえ、宮古島は本島とは異なる文化を育んできた。薩摩藩に侵略された琉球王府は、宮古・八重山に人頭税という重税をかけた。虐げられた側がさらに弱い者を虐げたのである。それが宮古島の島民に反骨精神を植え付けることになった。
 機体はあまり大きくない。飛行機の窓から見ると、小さな雲がたくさんあって、凪いで光を照り返す海面に陰が映っている。宮古島に近づくにつれて雲が広がり、風が強くなってきた。(つづく)

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2017年08月16日

豊見城の海軍司令部壕(2)

 司令部壕は迷路のように、廊下が巡らされている。薄暗い地下の通路は、空気が淀んでいて圧迫感がある。下士官の兵員室には、漆喰が塗られていない。ここに出入りしていた軍曹らは、横になることもままならず、立ったまま仮眠を取っていたという。負傷兵が多数収容されていた医療室も、土壁があらわになったまま。軍隊は厳然たる身分制度の社会であることが、改めて感じられた。突撃を命じる司令官と、前線で指揮を執る下士官、そして突撃していった歩兵。
 司令官室に入った。かまぼこ形の天井と壁は漆喰が塗られ、上官が執務をするにふさわしい威厳を感じさせた。壁には「醜米覆滅」と書かれている。コンクリートが剥き出しになった箇所は、太田實海軍少将ら六名の幹部が、沖縄県民の献身をたたえる電報を打った後、拳銃で自決した際の銃弾の痕である。
 司令官が自決したということは、下士官や兵士は突撃して果て、負傷して収容されていた者も、命を絶たれたということなのだろう。つるはしや鍬で掘ったままの刃の跡が、赤土が剥き出しになった壁に残っており、無名の兵士の汗と涙を感じさせる。
 沖縄戦による死者は二十万人。そのうち、日本側は十八万八千人に及ぶ。司令官らには死の直前に精神の自由だけは残されていただろうが、出撃を命じられた兵士には、すでに武器らしい武器は残っておらず、無防備なまま敵の銃弾に撃たれていったのだろう。「生きて虜囚の辱めを受けず」という「軍人勅諭」を叩き込まれていたから、降伏して捕虜になるという選択肢は許されなかった。
 沖縄県民はアメリカ軍との地上戦に巻き込まれ、四人に一人が命を奪われた。その中には集団自決を強いられたり、日本軍に殺された者も含まれる。

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写真とエッセイ『大井川鐵道の旅』(pdf)

 静岡県の大井川鐵道は、蒸気機関車の走る本線と、ダム建設のために作られたトロッコ列車が走る井川線からなり、鉄道マニアには見逃すことができない路線です。特に井川線は、日本唯一のアプト式区間を持ち、奥大井湖上駅など、絶景の秘境駅がある野趣あふれた路線です。また、周辺の寸又峡はダイナミックな渓谷に、長い吊り橋がかかり、森林鉄道の廃線跡も残る秘湯のスポットです。「大井川鐵道と寸又峡」ほか3編の鉄道関連のエッセイを、多数の写真とともに収録しました。
 今回はパソコンですぐに開けるpdfで提供いたします。約3メガありますので、通信速度が遅い場合は時間がかかります。
 以下のリンクからダウンロードしてください。
ohikawa.pdf

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