2017年07月28日

ネルヴァルの「緑の怪物」について(1)

 僕が大学で選択した外国語は、フランス語だった。一年生は文法や簡単な読み物だけだったが、二年生になると、いきなりフランス文学の作品を読まされた。そのうちの一篇が、ジェラール・ド・ネルヴァルの「緑の怪物」だった。執筆されたのは1849年で、死の6年前である。
 これが初めて読むネルヴァルの作品で、しかもフランス語でだった。読み終えたとき、何ともへんてこりんな話だと思った。にもかかわらず、不思議と心をとらえて放さなかった。ネルヴァルは散文作家というよりは詩人である。詩人であるということは、描かれる内容以上に、言葉の使い方やイメージに神経を使っているということだ。
 詩人のピエール・ルヴェルディが語ったように、互いに隔たった意味を持つ二つの語を、的確に近づけることによって、詩的な驚異というものは生まれる。シュルレアリストの先駆けとされる詩人ロートレアモンは、『マルドロールの歌』の中で「手術台の上での雨傘とミシンの偶然の出会いのように美しい」と書いたが、ネルヴァルの文章は、あり得ないような出会いの驚異に満ちている。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:43| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする