2017年07月23日

首里城の幻影(2)

 御庭から広場に通じる奉神門をくぐった。琉球王国の時代の朱塗りの正殿が、目の前に姿を現した。いかにも威厳を感じさせる姿は、かつてここが一つの国であったことを物語っている。一地方を支配する領主の城は、幕府への遠慮もあって外見は簡素なものだが、首里城は国王の居城であるから、権力をはばかることなく誇示している。
 琉球士族の着物をまとった係員のほかは、御庭にはほとんど人影がない。南殿は展示室になっている。中国風の傘や山水画、螺鈿などの宝物が陳列されていたが、何と言っても見ものは正殿である。一階は役人が国王にお目見えする御差床(うさすか)。畳の上に腰を下ろして、正殿前に並んだ臣下に命令を発せられたのだろう。
 二階はかつて国王以外は、男子禁制であった。朱色を基調に金色に装飾された椅子の上には、「中山世土」という額が掲げられている。中国の皇帝から「琉球国中山王」として封じられた証である。琉球の島々は中山王の封土であるという宣言である。様式はほとんど中国式で、臣下への号令も中国語で行われた。使われていたのも中国の元号である。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:57| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする