2017年07月16日

ぼくはネコなのだ(49)

 酔いがさめた頃、兄貴がぼくに尋ねた、どうしておまえだけ、人間の言葉が分かるんだと。そんなこと言われても分からない。誰か教えてくれないかというので、人間には学校というものがあると答えておいた。
「ネコの学校はどこにある?」
「そんなもの、あるのかな。うちは母ちゃんが行方知らずだし、父ちゃんは誰だか分からないし、ママチチはあの世に逝っちゃったし」
 それからというものの、おばあさんが大学に行きたがるように、兄貴は学校へ行きたがった。そこで、久し振りに丘の上にある小学校へ、兄貴をつれて行ってみることにした。大きな建物の前の庭で、新入生の子供たちが、白と赤の帽子にシャツと短パン姿で並ばされていた。けたたましい音楽が鳴り出すと、それに合わせて両手を振りながら、行進させられている。
「なんか真似してるだけだな。つまらない。あんなことして頭が良くなるとは思えない。第一、ネコが出てこないんだから、おれにとっちゃ、何の役にも立たないよ」
 わざわざネコに案内させておいて、それはないだろと思った。ただ、人間は機械みたいに動く練習してるだけじゃない。あの建物の中で勉強してるんだろうと言ったら、兄貴は走って学校の門の中に入ってしまった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 11:01| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする