2017年07月07日

ふたたび沖縄へ(1)

 それから五年経った。季節は前回と同じく七月の末。折良く、台風が抜けた直後だった。那覇空港に着くと、バスで名護方面に向かっていた。泊まったのも真栄田岬のユースホステル。記憶していた通りの風景である。さとうきび畑が一面に広がり、彼方に水平線が海岸と平行して延びている。屋根と入口のある死者の家、沖縄独特の墓も並んでいる。二十代だったあの頃から、まるで時間が止まっていたかのようだ。
 このユースホステルは、現在は真栄田岬ダイバーズハウスとなっているが、当時も宿泊客の大半はダイバーだった。同室となった青年はきさくで、海の中で体験したことをいろいろ話してくれた。ダイビングでは三十から四十メートル潜るということだ。
「ハタなんか大きな岩を動かすし、ウニでも針をバリバリ折って食べてしまいますよ。鋭い歯にやられたら、指なんか食いちぎられるでしょうね。ダツは光に向かって突進してくるから、剣のようにダイバーの体に突き刺さってしまうこともあるらしいんです」
 美しいだけの世界ではないようだ。動物たちの生存競争が繰り広げられる、生と死の隣り合った驚異の世界なんだろう。話を聞きながら目をつぶると、光景が眼前に広がっていく気がした。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:52| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする