2017年07月06日

ぼくがダライラマ?(11)

 夜になると、ようやくお母さんと二人きりになれた。ぼくは話したいことがいっぱいあるのに、お母さんは疲れてすぐに床に入りたいらしかった。お寺の中で明るいのは、灯明がともった本堂だけで、部屋の中は月明かりが頼りだったから、どこに何があるかしか分からなかった。
 誰も見ていないので、ぼくはお母さんの寝床に入り込んだ。まだ甘えたい年頃だった。ぼくはその日の出来事を、洗いざらい言ってしまわないでは気が済まなかった。僧院長は坊さんのくせに、ヤクの肉が大好物だとか、古いバターで作ったお茶は、絶対に飲みたがらないだとか、若い坊さんたちから聞いたことを、そのまま話してみせたりした。
 門番が居眠りしているすきに、寺の外に出て行こうとしたら、犬が鳴いて見つかってしまった。どうやって犬を手なずけたらいいんだろう。あんな獅子みたいな大きな顔したのに噛みつかれたら、おちんちんがなくなってしまいそうだとか。お母さんは小声で笑いながら、ぼくの髪を撫でてくれた。でも、いきなり手が下に落ちたりして、よほど疲れているんだろうと思った。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:21| Comment(0) | 連載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする