琉球処分で日本に併合されてから、沖縄戦まで六十年も経っておらず、言葉も文化も異なることから、数々の差別も受けていた。求人の張り紙に「朝鮮人、琉球人お断り」と書かれた写真が残っている。物を頭に載せて歩く風習を見ても、本土の人間は対等な相手とは見ていなかったようだ。
最も印象に残った写真は、焦土にさらされたままの老婆の遺体。恐らく、琉球処分前後に生まれ、強制的に日本人にされたのだろう。琉球国王尚泰は東京に連行され、自分たちは日本語の学習を強制された。首里の王宮も寺院も破壊され、故郷が焼き尽くされていくのを見ながら、命を奪われたのだろう。
僕は陰鬱な気分になった。正直な気持ちを言えば、ここには来たくなかった。石垣島や西表島での思い出が、悲惨な歴史を目の当たりにして、吹き飛んでしまった気がしたからだ。だが、本土の人間としては、沖縄に来たからには、歴史から目を背けることは許されない。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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ラベル:沖縄戦,琉球処分,本土