2017年06月05日

西表島は日本のアマゾン(9)

 船着き場に戻ると、そのまま浦内川を下っていく。ワゴン車に乗り、みどり荘に帰ってくると、部屋には誰かの荷物が置いてある。夕食までは時間があるので、自転車を借りてサイクリングすることにした。
 船浦港には下りずに、そのまま南側に行ってみることにした。道はどんどん海から遠ざかっていく。ちょっと不安になったので、海に向かって伸びている細い砂利道を下っていった。行けども行けどもアスファルトは現れず、草むらは時折がさごそと鳴る。ハブが潜んでいるのかもしれなかった。どうやらその先は、琉球大学の農業研究所に通じているらしい。
 元の地点に戻り、船浦大橋を彼方に見ながら進んでいくと、小さな川が見えてきた。自転車を止めてぼんやり干潟を眺めていた。海の方からぐんぐん海水が逆流してくる。これはいくら見ていても見飽きない。旅の最大の目的も果たしてしまい、いよいよ終盤に差しかかってきた。
 みどり荘の部屋では、感じのいい青年がベッドに寝っ転がっていた。横浜の会社の寮に住んでいるとのこと。屈託なく話してくれるので、一緒に食事をしてビールも飲み、シャワーも浴びた。時間が過ぎるのも忘れて、話し込んでいった。
 彼は八重山民謡を聞きたいと言った。外に出て携帯ラジオのスイッチを入れた。ところが、入ってくるのは台湾の放送ばかりだった。聞こえてくる歌謡曲も、どこか中華風である。
「ここは那覇よりも台湾に近いんでしょ」と言いながら、彼は笑っていた。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:05| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする