2017年06月03日

ぼくはネコなのだ(42)

 外は本当に寒い。兄貴とぼくはショックで震えた。もうこのうちにいられないかもしれない。とぼとぼと庭を横断して、隣のうちの前まで行った。空気は冷え切って、身も心も凍りついてしまいそうだった。兄貴に話しかける元気もなかった。どうなると問いかけても、答えは帰ってこないないだろう。
 顔を見合わせていると、裏口のドアが開いた。ぼくは走っていきたくなったが、まだ体が動かない。すると、髪の短いおじさんが近づいてきて、ぼくの体に触れた。緊張してぶるっと震えた。その手はゆっくりと、ぼくの頭と、ついで背中をなでている。
 許してくれたんだなと思った。しばらくすると、凍りついていた兄貴も寄ってきた。おじさんは冷え切った兄貴の体もなでている。もう夜中に大暴れするのはやめようと思った。おじさんが振り返りながら、家の方に戻っていく。ドアを開けると手招きした。すると、兄貴が走って家の中に入った。ぼくも恐る恐る入っていった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:14| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする