2017年06月24日

『男はつらいよ 純情篇』(第6作)

 冒頭でテレビが「ふるさとの川 江戸川」という番組を流している。そこに映し出されたのは、柴又帝釈天の題経寺と御前様、次いで「とらや」のおいちゃん、おばちゃん、妹さくらである。望郷の念にさいなまれ、寅次郎は「とらや」に電話をかける。今までは柴又から電話をかけることが多かったが、今回は旅先の山口で、これから長崎の五島に向かうところだった。
 寅次郎は旅先で子連れの女と出会い、女のふるさと、五島の実家に向かう。父親と娘の語らいを聞くうちに、寅次郎は「帰るところがあると思うからいけない」と悟る。悟りながらも望郷の念に負けて、柴又に舞い戻る。
 その頃、「とらや」には遠縁の女夕子が間借りしていた。夕子に対する好意と、さくらの夫、博の独立問題がからまってくる。印刷工場の社長との対立も収まり、社長は工員らと博、さくらを誘って川下りを催す。「木曽の御嶽山」と謡いながら、舟下りしているのは江戸川である。
 夕子の夫が現れて、寅次郎の片思いも終わる。毎度のごとく恋破れて、また旅に出る。もう帰ってこないと思いながら、帰ってくるのは、これで最後と思いながら、制作されていった『男はつらいよ』のシリーズである。

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2017年06月23日

ひめゆりの塔と沖縄戦(1)

 石垣港に戻り、行きとは違って、石垣空港から飛行機に乗った。那覇空港まで50分。全くあっけない。春海ユースホステルに泊まったのだが、夕食を作るのはやめたと言われ、やむなく外食。道路は渋滞しているし、これじゃ東京と同じじゃないか。
 朝食後、那覇バスターミナルへ行った。本島南部の戦跡に向かうことにした。途中の道路もかなり渋滞していた。糸満のバス運転手は親切で、ひめゆりの塔の所で下りて見学してから、平和祈念堂に行ったらいいと教えてくれた。同僚と話しながらだったが、ウチナーグチ(沖縄方言)だとは全く分からない。それをヤマトグチ(日本語)で言い直してくれた。
 ひめゆりの塔のバス停で下りる。日射しが強く、目をまともに開けていられない。塔の前には赤い花が山のように供えられている。その前で記念撮影している観光客が多いが、僕にはその感覚がよく分からない。そこには資料館があり、沖縄戦の歴史が分かりやすく説明されている。ひめゆりの塔のちょうど地下が、女学生たちが従軍看護婦の見習いとして働いていた洞窟となっている。(つづく)

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2017年06月22日

ぼくはネコなのだ(46)

 それから極ネコは、かつてのぼくらのように、玄関前のプラスチックの小屋で、一日の大半を過ごすようになった。兄貴の言うには、あれでも一時は母ちゃんの連れ合いだったので、義理のお父さんなのだそうだ。
 ネコのオスにとっては、連れ子は邪魔な存在で、かみ殺してしまうこともあるんだから、それを父親扱いするのは変だと思うのだが。それを人間は「ままちち」と呼ぶらしい。ママで父親だなんて、まったく紛らわしい言い方だな。
 兄貴は億劫がって、ストーブとかいう暖かい箱の前で、居眠りばかりしている。ぼくは裏口のドアが開くと、庭に出て外気に当たることにした。寒くてびっくりするけれど、毛を奮い立たせて進めば、外を歩き回れる自由に、ネコとして生まれた喜びを感じるのだ。いくら冷蔵庫の上にのぼっても、小鳥が止まってることはないのだから。
 天気のいい日には、極ネコは日向に移動してうつらうつらしている。こちらが声をかけても、目だけ動かすばかりで、にらみつけたり声を出したりしてこない。遠くを眺めながら、昔のことを思い出してるようだった。固いえさが食べられなくなり、おばさんはやわらかい肉の缶詰を、極ネコに与えるようになった。あまりにおいしそうなので、半分食べかけた皿に顔を近づけたら、威嚇するどころか、笑ってるじゃないか。何か気持ち悪くなったけど、残りはいただいてしまった。(つづく)


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