2017年06月30日

ひめゆりの塔と沖縄戦(3)

 平和記念堂の美術館を見て回った。そこで印象に残った絵画について記そう。黄色い夕焼けをバックにした守礼門。夏の海に浮かんだ赤い花。雪原で夜明けを眺める鹿。光の中しぶきを飛ばして駆け抜ける天馬。
 記念式典が行われる広場を過ぎ、平和祈念資料館の方に向かった。そこで見られたのは、沖縄戦で起きた悲劇の連続だった。昭和二十年、米軍の本島上陸が近づいた頃、米軍の戦艦が慶良間諸島を包囲すると、島民の多くは自決を余儀なくされた。ネコイラズ、殺鼠剤を持っている家はうらやましがられた。これを大量に摂取すると、吐いて助かってしまう。それがないうちでは、家族同士、ナイフで殺し合った。夫が妻や子供、老人を刺した。そして、仲間同士でも。
 首里が陥落すると、日本軍は喜屋武(きゃん)半島へと転進した。退却という言葉を使うと、国民の士気が下がるとして「転進」という言葉がニュースで流されていた。そこで米軍を疲弊させ、国体の護持、天皇制の存続という条件を米軍に呑ませた上で、終戦に持ち込もうとしたのだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 01:42| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第5版『電子本(電子書籍)を作ろう!』(pdf)

『電子本を作ろう!』(pdf)の第5版を公開します。ジャストシステムの「一太郎2016」に関する新情報を含んだ増補版です。ePubやmobi、およびpdf形式で作るノウハウを解説します。電子書籍の形式について説明した後、文章を書いていく上での注意点、ファイルの作成方法、公開の仕方などを順に述べていきます。

 第五版においては、「一太郎2016」で追加された機能のほか、ePubの固定レイアウトとPDFの違い、ePubの脚注の問題、「詠太」のアクセント記号と、他の読み上げソフトの機能、さらに、書籍を再編集する場合の注意などについて加筆しました。古くなった情報は削除し、リンクが古くなったものは張り直しました。以下のリンクをクリックして保存してからご覧下さい。
denshibon5.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、マイミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。大部分のパソコンにインストールされているAdobe Readerで読むことができます。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 01:32| Comment(0) | コンピュータ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月29日

ぼくはネコなのだ(47)

 それから、極ネコは次第に物を食べなくなった。外は霜柱も立つほどだから、小屋も玄関の中に移動していた。兄貴やぼくが近づいていっても、ぼんやり見ているだけで、心はどこかに飛んでいってしまったみたいだった。
 その日は風もなく暖かなので、日に当ててやろうと、小屋も外に出して日向ぼったできるようにしてあった。極ネコは小屋の中に置かれた湯たんぽの上で、うつらうつつらしている様子だった。「寒くないから」と兄貴を誘って、ぼくらも庭で追いかけっこしていた。
 昼過ぎになって、外出していたおじさんの声がした。ぼくはうれしくなって通りに駆けていくと、見たことのある男の人が横にいた。おじさんの友達で、くまモンのシャツをいつも着ているくまモンさんだった。でも、この前来たときと何か様子が違ってる。いても立ってもいられないみたいで、門を入るとおじさんよりも先に、玄関の方に走っていった。
「イオ、イオ、イオ」
 それはくまモンさんが以前飼ってたネコの名前で、病気で数年前に死んでしまったという話だった。それなのに、くまモンさんは極ネコの毛並みがイオに似ていると聞いて、駆けつけてきたのだった。
 くまモンさんは手を差し出した。すると、知らない相手には「ガー」と威嚇の声を出していたのに、抵抗することもなくくまモンさんに抱かれているのだった。
「間に合ってよかったな」
 おじさんが声をかけると、くまモンさんはうれしそうな顔で、極ネコの顔をこちらに見せた。不思議なことに、うれしそうに目を細めて、口もとが笑っている。そして、かわいらしい声で「ニャー」と鳴いた。
 極ネコはそのまま動かなくなった。くまモンさんは抱きしめたまま、涙をこらえている様子だった。兄貴とぼくは呆気にとられて、その場面をじっと見上げていた。本当は極ネコとイオは関係なかったかもしれない。でも、くまモンさんはイオに再会できたと喜んでいたし、母ちゃんの連れ合いだったネコが、赤ちゃんみたいに抱かれて息を引き取ったのだから、ぼくたちもしんみりした気持ちになった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

 
posted by 高野敦志 at 01:37| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする