2017年05月26日

ぼくはネコなのだ(40)

 雪がちらつく寒い日も、ぼくと兄貴はうちの中で過ごすようになった。テーブルのある大きな部屋は、ドアが閉められていて、その先に何があるか分からない。一度だけ、おばあさんがトイレに行くとき、一緒に出たことがある。階段があるから上にも部屋があるようだけど、すぐにおばさんに抱きかかえられて、元の部屋に戻されてしまった。
 でも、うちの中にばかりいると、体がなまってしまう。筋力も落ちてしまう。それに、大切な玉を抜かれてしまって、自分がオスだかメスだか分からなくなりそうだ。オスであることを忘れないように、少しスポーツしなくちゃいけない。ただ、昼間は大人しくネコをかぶってることにした。おばあさんは本当は、ぼくらのこと好きじゃないらしいから。
「早くこのネコ、袋に入れてしまいなさい」なんて言っている。ネコを紙袋(かんぶくろに)に押し込んで、ぽんと蹴りゃニャンとなくなんてされた日には、なくになけない。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:32| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする