2017年05月21日

ぼくはネコなのだ(39)

 何を書いているんだろう。大学とかいう、休みだらけの学校の先生らしいから、教えるための書類でも作ってるのかと思った。文章を書き上げたところで、おじさんがボタンを押すと、何とその機械から男の声が聞こえてきた。

 ぼくはネコなのだ。名前はまだない。どこで生まれたか何(ニャン)となく覚えている。そこは薄暗くてじめじめした所。今住んでいるうちの物置の下だろう。何が悲しかったのか、ニャーニャー泣いていたことだけは記憶している。

 何だ。この先生、ぼくのこと、話に書いて遊んでるらしい。「何(ニャン)となく」とか、ネコ真似までしている。ネコのこと勝手に書くんじゃない! ネコごとだと思って。ちょっと仕返しをしてやりたくなった。そこでおじさんがトイレに行ってる間に、機械の上に乗っかって踊ってみた。すると、白い画面に文字が出てきたから、踊りながら人間の言葉を書こうと思った。
 しばらくして、髪の短いおじさんが出てきた。ぼくはあわてて機械の上から飛び下りた。それを見ておじさんは、不機嫌そうに顔をゆがめた。そして、ぼくの顔をじっと見ながら言った。
「自分のこと書かれて怒ってんだろ。仕返しでもしたつもりなんだろ」
 その言葉を聞いてぎょっとした。ただ怠け者の先生だとばかりと思っていたが、ネコの心を読むこともできるらしい。ちょっとこわい気もしたが、それならこっちにも考えがあると思った。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:26| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする