2017年05月20日

ぼくはネコなのだ(38)

 もう真冬になっだ。肌を刺す冷たい風が吹き、昼間でも日陰はふるえるほどだ。そのため、部屋の中にネコ用のトイレが作られた。ぼくらが用を足した所の土を入れたので、丸い容器が何であるかすぐに分かった。ぼくたちネコはきれい好きだから、あたり構わず糞や小便をまき散らす、鳥なんかと一緒にされたくない。あいつらはぼくらのおやつに過ぎないわけだし。
 トイレが出来たおかげで、ぼくらは夜中になっても、部屋の中でぬくぬくしてられるようになった。外の湯たんぽで震えてることもなくなった。寒くなると出不精になるのは、ネコも人間も同じなんだな。
 おばさんとおばあさんが寝てしまっても、おじさんは暖かい部屋で起きている。日によっては、夜明け近くまで明かりをともして。といっても、半分は机にうつぶして居眠りしてるのだが。兄貴の方を見ると、ソファの上で丸くなっている。いい気なもんだ。
 ぼくがテーブルの端からのぞき込むと、文字がたくさん並んだ機械を、おじさんは指で押している。初めは何をやってるのか分からなかったが、どうやら人間の言葉を書く機械らしい。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:30| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする