2017年05月13日

ぼくはネコなのだ(35)

 プラスチックの小屋に閉じ込められたまま、ぼくは車の後ろに乗せられたらしい。薄暗い中なので、ほとんど何も見えない。鉄のかごの音もしたから、兄貴も横にいるんだろう。ブルンブルン音がしている。このままどこかに連れていかれるに違いない。
「兄ちゃん、ぼくらは三味線にされちゃうのかな」
「おまえ、三味線になってちりとてちんって、おなかで鳴らしたかったんだろ」
「じゃあ、おなかの肉はどうなるの?」
「肉なら食べられるかな」
「えっ? 何に食べられちゃうの?」
「生で食べるか、焼いて食べるか。どこがおいしいかな」
「兄貴も食べられるんだよ」
「えっ?」
 車が止まった。鉄のかごが運ばれていった。ドアが開く音がしたとき、兄貴は「じゃあ、おれから先に食べられるらしいから」と言い残して消えた。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 11:15| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする