浅い海はたくさんの魚が群れ、弧を描くように戯れている。そこで橋から干潟に下りてみることにした。夕方というのに、日射しがまだ強い。川の水も温められてぬるい。メダカほどの小魚がたくさん泳いでいる。砂地の上にいるのはシオマネキ、これはオスの片側の鋏だけが、巨大化した小蟹である。利き腕が大きくなるから、左右のいずれの鋏が大きくなるかは、個体によって異なっている。潮が満ちてくると、大きな鋏を動かすさまが、ちょうど潮を招いているようだからと名づけられた。
丸っこい形の小蟹は、ミナミコメツキガニ。これは蟹のくせに横歩きせず、前進するところが変わっている。しかも、群れで移動するから、ちょうど軍隊が突撃しているさまを思わせる。ただ、こちらは海の水が大嫌いで、潮が押し寄せると、ドリルのように回転して、砂地に潜ってしまうので、逃げ足の速さも半端ではない。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en
https://twitter.com/lebleudeciel38

にほんブログ村

人気ブログランキングへ
ランキングはこちらをクリック!